肥満は『病気』です。
肥満は、正確にいうと病名ではありませんが、万病の元と言われています。
数年で10kgも肥えてしまった人間の私は耳が痛い話ですが、今回は自分のことは棚に上げて、わんちゃん猫ちゃんの肥満の恐ろしさとその予防についてお話ししてみたいと思います。
肥満とは。。
まず、肥満は『脂肪組織が過剰に蓄積した状態』と定義されています。
そもそも、わんちゃん猫ちゃんの肥満に気付いていない飼い主さんがとても多いように感じます。
私自身、何年か前に動物病院へ連れて行き、初めて愛猫の肥満に気付きました。
(おうちで毎日見ていると、肥っていることに気付かないんですよね、不思議。)
おそらく6.5kgあったデブ猫時代。(白茶トラのゆずひこ)
今は、1.5kgのダイエットに成功して、5kgをキープしています。
同じ犬種、猫種でも、理想の体重というのは個体によって異なります。
そのため、動物病院へ行き、獣医師に肥満であるかどうかを定期的に確認してみるのが確実でしょう。
しかし、特に猫ちゃんだとなかなか動物病院に行く機会も少ないかもしれません。
そこで、下記の表のようにボディコンディションスコア(BCS)というものが判断基準として設けられているので、参考にされると良いと思います。
なぜ肥る?!
肥満は、『二次性肥満』と『原発性肥満』の二種類に分けられています。
今回は、二次性肥満(病気が原因で起こる肥満)ではなく、原発性肥満(摂取エネルギーの過多で起こる肥満)について、お話しします。
原発性肥満の原因は、ずばり『 食物の与えすぎ』です。
つまり、飼い主の管理不足で、彼らを肥らせてしまっています。
わんちゃん猫ちゃんの1日の必要なカロリー量は、だいたい5kgのわんちゃんで350kcal、3kgの猫ちゃんで160kcal程度です。
1日当たりのエネルギー要求量のことをDER(daily energy requirement)と言い、これは休息時エネルギー要求量(RER:resting energy requirement) から求められます。
RER = 70 × 体重0.75 (kcal ME/日)
DER = RER × 係数 (kcal ME/日)
ここで求めた必要カロリーを、あくまで目安とし、わんちゃん猫ちゃんの体調や体重の変化を観察し、給与量の微調整を行うと良いでしょう。
また、肥ってしまうタイミングとして、去勢・避妊手術がきっかけとなる場合が多いかと思います。
DERに掛ける係数が変わっていることからも分かるとおり、去勢・避妊手術後に身体として必要なカロリーは大幅に減少(犬では、術前と比べて30%程度低下)するため、給餌量を見直しする必要があります。
肥満が原因で発症しやすい病気
肥満のペットが必ず重い病気にかかるというわけではありません。
しかし、肥満が原因で起こりやすくなる病気はたくさんあります。
*高脂血症
*高血圧
*心臓病
*脂肪肝
*悪性腫瘍
*糖尿病
*関節疾患
など。
肥りやすい犬種
遺伝的要因によって肥りやすい犬種もいます。
*ケアン・テリア
*コッカー・スパニエル
*ビーグル
上記の犬種は、肥りやすい犬種として認識されているので、飼い主さんは体型の変化に、より注意してあげる必要があります。
4つのダイエット法
一般的に、1週間で、体重の1〜3%を減少させるのが理想的なダイエットとされています。
そこで、既に肥満気味のわんちゃん猫ちゃんのダイエット方法について、4つご紹介します。
1,給餌回数を増やす
人間と同様、一度に多くのごはんを食べると急激な血糖値の上昇が起こり、インスリンも多く分泌されます。
これを給餌回数を増やすことにより、インスリンの分泌を抑え、余ったエネルギーを蓄積させにくくすることができます。
なお、あくまで1日の給餌量を決めた上で、複数回に分けて与えます 。
2,ダイエット用のフードに切り替える
通常の食事による減量では、30%フード量を減らすと栄養素も30%カットされてしまいます。
そのため、必要な栄養素はすべて与えた上で、カロリー摂取量を減少させるためには、減量用の食事療法食を与えるのが効果的です。
ロイヤルカナン 猫用 満腹感サポート | ||||
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我が家のゆずひこは、ダイエット期間中はこちらのフードをあげていました。
高タンパクで食物繊維も多く含まれていることにより、満腹感を維持することができます。
関節の健康を維持する成分(コンドロイチン・グルコサミンとEPA・DHA)も含まれているため、四肢に負担がかかりがちな肥満児には最適です。
ゆずひこはとにかく食欲がすごいので、更に水でふやかしたものをあげていました。
※絶食は、ダメ、ゼッタイ!!※
絶食による減量は、短期間で目に見えて減量できる方法ですが、体タンパク質の損失率が高く、さまざまな組織に対するダメージが大きいため、健康上好ましくありません。
特に、猫では、肝リピドーシスを引き起こすため、たいへん危険です。
肝リピドーシス
肝臓に過剰に脂肪が蓄積する病気。
3,家族全員のやる気と理解を高める
ご家族の多い家庭であると、誰がどのくらいごはんやおやつをあげているかを把握することが難しい場合もあるかと思います。
そのため、想像以上にカロリーを摂取している可能性も。
ご家族でダイエット中という認識を共有し、ごはん係とおやつ係など、役割分担をすると1日の摂取量を管理しやすくなるでしょう。
可愛くおねだりをされてしまうと、何度でも美味しいおやつをあげたくなってしまうかもしれません。(わかります。)
わんちゃん猫ちゃんからの高感度アップのための抜けがけをしないよう、ご家族みんなが心を鬼にして1日の給餌量を管理していきましょう。
4,積極的な運動
わんちゃんや猫ちゃんは、活動量を増やすことで生じるエネルギー消費は少ないとされているため、この方法のみでの減量は困難かもしれません。
しかし、長年にわたって身体活動が不活発な状態が続くと、交感神経の働きが鈍くなり、消費エネルギーが低下して肥満に繋がるという説もあります。
よって、やはりダイエットのためには適度な運動も重要です。
なお、肥満によって既に運動器系疾患を併発している場合などは、四肢に対する負担が大きいので、過度の運動は控える必要があります。
最後に。。
丸々とした方が可愛くて良い、と言われる方もとても多いです。
(たしかに、とても可愛い。。)
しかし、1日でも長く、元気に走りまわるわんちゃん猫ちゃんと過ごしたい!というのは、飼い主さん皆さんの願いだと思います。
そのためには、肥満を予防すること、つまり、肥満は『病気』という認識が重要なのです。
現在、おうちの子が肥満気味である場合は、彼らの健康を維持できるよう、ご家族でダイエットについて検討してみてはいかがでしょうか。
【まとめ】わんちゃん猫ちゃんのホームデンタルケア3つの方法
前回の記事で、歯周病のリスクについてお話しましたが、今回はその予防(ホームデンタルケア)について、詳しくお話ししていきたいと思います。
以前にもお話しさせていただいたとおり、 歯周病の原因となる細菌は主に歯周ポケットに潜んでいます。
そのため、基本的には、歯の表面ではなく歯周ポケットの中の歯垢を取り除くことが大事です。
そこで、有効なホームデンタルケアをご紹介していきたいと思います。
1,歯ブラシによるブラッシング
基本的なホームデンタルケアは、歯ブラシによるブラッシングになります。
他の方法はあくまでも補助的なものと捉えた方が良いようです。
しかし、歯ブラシに抵抗があるわんちゃん猫ちゃんは多いことと思います。
下記にポイントをまとめてみます。
✴︎ブラッシングに慣れてもらうポイント ✴︎
・子犬、子猫の頃から口を触らせることに慣れさせる
・まずは、触る部位も唇→歯と徐々に奥の方へ
・口に触られることは嬉しいこと(ペースト状のおやつなどを手につけて、口の中を触る)
・指で触ることに慣れたら、歯ブラシにシフト
・歯磨きをした直後にその都度、ご褒美(散歩、おやつ)を与える
少しずつ歯磨きに慣れさせる、慣れるまで根気強く行うことが重要です。
また、ガーゼタイプの歯磨きでは、歯周ポケットの奥に入り込めないため、歯垢を取り除くことはできません。
我が家のデンタルケアアイテムです。
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歯磨きペーストは、犬猫共用できるものが限られてきます。
いくつか試してみましたが、上記のVirbacさんの歯磨きペーストが程よい粘度で、使いやすいため、私はずっとこちらを使用しています。
フレーバーが、チキンとシーフードとバニラミントがあります。
シーフードやチキンなら美味しそうなので喜んで磨かせてくれるのでは。。?と思ってどちらも使ってみましたが、味はあまり変わらないようです(笑)
そのため、匂いが不快ではないバニラミントをストックしています。
歯ブラシは、やはりヘッドが小さい方が使いやすいです。
歯周炎が起こっていない場合は、毛先の揃ったタイプでも問題ありません。
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しかし、既に歯周ポケットが形成されている場合は、歯周ポケットに入り込める毛先の細いタイプの物を使用するのが効果的です。
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2,デンタルケア用のおやつやガム、おもちゃ
おやつタイプの製品は、それぞれ独自の歯のクリーニング効果により歯垢歯石の沈着を防ぐ作用があるようです。
噛むおもちゃは、歯周ポケットに入り込んで物理的に歯垢を除去することは難しいですが、噛むことにより唾液が分泌されるため、ある程度の予防効果は期待できます。
ウェットフードよりもドライフードの方が歯周病になりにくいというのも、唾液が分泌されることにより、口腔内の汚れが少なくなるためです。
しかし、骨や牛・豚のひづめなどは硬すぎるため、歯を折ってしまう危険性があります。
そのため、それらの投与はあまりおすすめはできません。
3,サプリメント等の活用
昨今、いろいろな種類のデンタルジェルやスプレー、サプリメントが開発されているようですので、それらを併用するのも有効的でしょう。
試供品でいただいたサンプル等をたまに試してみるのですが、下記のサプリメントは使用して数日で口臭がほとんど気にならなくなったので、おすすめです。
プロバイオティクスの働きで、歯周炎の原因菌を減らすことにより歯周病予防が可能になります。
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なお、余談ですが、犬猫の口内はアルカリ性であるため、虫歯にはほとんどなりません。
ヒトは糖を分解する際に口内が酸性になるため、食後の歯磨きが重要になりますが、わんちゃん猫ちゃんの歯磨きを食後に急いで行わなければならないというわけではありません。
最後に。。。
わんちゃん猫ちゃんも、大事な家族です。
お口の中の状況もしっかりと把握し、毎日のスキンシップに、ホームデンタルケアを加えてみてはいかがでしょうか。
次回は、 『肥満』についてお話ししようと思います^^
【まとめ】歯磨きが大事である3つの理由(わんちゃん・猫ちゃん)
「うちの子、口が臭いのよね〜。。」
わんちゃん、猫ちゃんと一緒に住んでいる方とのお話で、よく耳にするお悩みの一つです。
わんちゃん、猫ちゃんも人間同様、歯周病(歯肉炎、歯周炎)になります。
歯肉炎などの炎症が進行すると、歯周ポケットと呼ばれる病的な隙間ができます。
そこに歯垢が溜まることによって歯周炎となるのです。
歯垢が歯周病の直接的な原因であり、食べかすではなく、細菌と細菌副産物などによって作られます。
歯垢は6〜8時間、歯石は3〜5日で形成されますが、歯石化してしまうと、全身麻酔のうえ処置をしなければ除去できません。
歯石は、歯垢の沈着をさらに進ませるので、そうなる前のホームデンタルケアが重要となってきます。
それでは、わんちゃん、猫ちゃんにおける歯周病では、何が問題なのでしょうか。
3つに整理して、お話していきたいと思います。
1,身体に悪影響が及ぶ
歯周炎になると、歯の根本に膿が溜まり、歯のぐらつきや脱落、さらに進行すると顎が腐って折れることもあります。
また、重度の歯周炎では、歯周病菌により、心臓、腎臓、肝臓など全身に悪影響が及ぶとされています。
2,愛犬・愛猫と飼い主のQOL低下
歯肉に炎症が起こり、赤く腫れ上がった状態は、さぞ痛くてつらいことでしょう。
大好きなごはんも苦痛の時間となってしまっているかもしれません。
口臭がきついため、飼い主さんも愛犬・愛猫との触れ合いを躊躇してしまうこともあるのではないでしょうか。
3,全身麻酔の身体的リスク
先にも記載した通り、歯石の除去には全身麻酔が必要になるため、循環器に異常がある可能性のある高齢のわんちゃん、猫ちゃんなどは身体的に大きな負担となります。
また、重症化している場合は、抜歯せざるを得ないこともあります。
昨今、3歳以上のわんちゃんや猫ちゃんの約8割以上が、歯周病にかかっていると言われています。
そして、最近は、わんちゃん・猫ちゃんのホームデンタルケアの重要性を意識されている方がとても多いように感じます。
しかし、なかなか歯磨きをさせてくれず、困っている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
そこで、次回は、ホームデンタルケアの方法について、詳しくお話しさせていただこうと思います。
【まとめ】猫のウールサッキングで気を付ける3つの事と対策
猫の「ウールサッキング」について、ご存じでしょうか?
ウールサッキングとは、ウールなどの繊維を食べたり吸ったりする行動のことをいいます。
また、ウール以外のさまざまな繊維や、ビニール、ナイロン、樹脂などを摂取することもあります。
イギリスにおける調査より、ウールサッキングはシャム猫などのオリエンタル種に多く見られるようです。
常同障害(同じ行動を繰り返してしまうこと)というより、食事関連性の行動と見られており、咀嚼や嚥下における刺激不足を補うために行うのではないかと考えられています。
年齢を重ねることにより、症状が改善されるという話も耳にします。
しかし、齢5歳の我が家の猫(つも)は、幼い頃から症状に変化はありません。
そこで、私がつもと共に生活をしてきた中で、お互いストレス無く居られるために気を付けている3つのことについて、ご紹介したいと思います。
1.人間の留守中は、ゲージに入ってもらう
つもが幼い頃は、何を口にしてしまうのかが把握できていなかったため、人間の留守中には、ゲージで過ごしてもらっていました。
おうちに迎え入れたばかりで人の監視下に置けない場合は、ゲージに入ってもらうのが必須かと思います。
しかし、これは猫さんにとってはとてもフラストレーションが溜まることですので、一時の対策としたいところです。
2.高繊維の処方食や草、あるいは硬いおやつ(ジャーキーなど)を与える
上記で記したとおり、 ウールサッキングは、咀嚼や嚥下における刺激不足を補うために行うのではないかと考えられているため、高繊維食や硬い食べ物を与えることが効果的であるとされています。
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実際に上記の高繊維を与えてみたところ、つもには、あまり効果がありませんでしたが、個体差や、長期的に与え続けることにより効果がある可能性もあるので、一度お試しする価値はあるかと思います。
3.口にしそうな物は、置かない
噛んだり、食べてしまうようなものは、猫さんの手の届く所に置かないというのが、何よりの対策であると感じます。
簡単そうに聞こえますが、これがなかなか難しいですよね。
つもが食べてしまうものは、主にふわふわの布類、ビニール製の物、細い紐などで、気を付けていることを以下に記します。
・猫の生活圏内に、脱いだ洋服、ビニール製の物等は置かない
・ふわふわ素材の部屋着、毛布などは使わない
・ズボンのウエストやパーカーの紐などは、購入してすぐに引き抜いておく
その他、基本的に木製の物、本、革製品等あらゆるものを噛みますが、飲み込まないことは確認できているため、それほど気にしてはいません。
むしろ、噛んでも問題のないものは、ストレス発散のためにあえて室内に放置してあります。
電化製品のコード類の保護については、後ほど記事にまとめようと思います。
【まとめ】
ウールサッキングの猫さんと暮らしている方の気持ちは、痛いほどわかります。
持ち物を噛まれ、壊されたりなどと大変ですが、何より、食べるものは置かないように気を付けていても、留守中にもしかしたら何か誤飲しているのではないかと心配にならない日はないでしょう。
結局、長時間ゲージに入ってもらっているという方もいらっしゃると思います。
せっかく縁があって巡り逢えた猫さんです。
ペットオーナーさんと猫さんが、お互いストレス無く、より良好な関係を築いていただきたいとともに、少しでもこの記事がそのきっかけになれば幸いです。
はじめまして。
はじめまして。ブログを始めてみました^^
愛猫2頭、愛犬1頭と暮らしています。
ひとまず、みんなの紹介です。
◆ゆずひこ:雑種(♂) 2011年2月22日生まれ
人見知りのおっとりさん。ごはんに関することには、努力を惜しみません。
2011年の秋に、里親募集中の貼り紙を見かけ、迎え入れることとなりました。
今まで一度も病気等したことの無い、丈夫な男の子です。
私の管理不足によりおデブな時期があったため、ダイエット等の食事管理、人間の食べ物の誤食を防ぐ方法等について、おいおい記していきたいと思います。
◆つも:雑種(♀) 2015年4月3日生まれ
なんでも噛みます。一番デリケートな甘えん坊さん。
職場(動物病院)の保護施設へ、コクシジウム(寄生虫)に感染した状態でやってきました。
お薬を飲ませるときのおてんばっぷりが、とても可愛く、2015年6月に我が家へ迎え入れました。
ウールサッキング(布などを食べてしまう異食症)のため、普段の生活も細心の注意を払っています。
◆咲良(さくら):L・チワワ(♀) 2008年3月9日生まれ
我が強い女の子。とにかく私とごはんが大好きです。
ブリーダーの繁殖犬として8年間生活し、つもと同じく、保護施設で出逢いました。
他の保護犬が私に近付いた時に、ずつきで追い払う様子を見て、ずっと一緒にいたいと思い、2016年9月に家族として仲間入り。
心臓に雑音があり、気管虚脱、変形性脊椎症、老齢性の白内障、膝蓋骨脱臼、蛋白漏出性腸症など、健康上の問題はありますが、どれも通常の生活に支障はなく、元気いっぱいです。
と、毎日賑やかな我が家です。
今後は、ペットの健康管理や普段気を付けていること、何気ない日常などなどを綴っていきたいと思います。
よろしくお願いします^^♪